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FP長谷尾「一日一言」生物ななぜ死ぬのか

今朝のNHKニュースから

「生物ってなぜ死ぬの?」東京大学・小林武彦教授に聞く 生物学からみる「死」と進化

NHK  2022年1月7日 午後4:00 公開

生物はなぜ死ぬのか――

日頃考えることは少ないけれど、誰もがドキッとするについて、生物学の視点で解説した新書が10万部以上、売れています。少し怖いけれど、気にせずにはいられない“死”について、著者の東京大学定量生命科学研究所の小林武彦教授に聞きました。

<これまでの死生観を変える「生物はなぜ死ぬのか」>

“生物学からみると、これまでの無数の死があるから進化し、私たちが存在する”

――生物学からみて“死”は、どういうことでしょうか。

小林:まず皆さんにご理解していただきたいことが1つあります。それは「生物は進化が作った」ということです。勝手にぽっと現れたのではなく、進化の結果、生物が出来たと。 進化には、進化のプログラム、進化の法則というものがあって、簡単に言うと「変化して選択される」ことです。変化というのは専門用語で言うと変異です。遺伝情報が変わること、性質が変わること。姿、形が変わること。これが変化です。 続いて選択について。生物が変化した中で、たまたま、あるいは偶然、あるいは何か都合がよくて生き残るものがいるんですよ。生き物の最初はものすごく単純な物質でした。これが変化して自分で増えるようになった。その中で増えやすいものだけが生き残ってきた。これが「選択される」ということです。この変化と選択を繰り返すことが、進化のプログラムです。 他の選択されなかった生き物はどうなったかというと、分解して材料になったんです。それが生物学からみた死です。ですから、変化して作りかえられて新しいのができて、他はまた分解して材料になって、また新しいのができて、よいもの・増えやすいものが残って…という進化のサイクルは生命が誕生した38億年前からずっと続いています。その結果が、いまの私たちなんです。 だから進化というのは、目的があってこうなろうと思ってなったのではありません。偶然、変化と選択を常に繰り返すことによってその都度、その都度、都合のいい形、性質を持ったものが生き残ってきた。その結果、私たちが存在している。ですので、生物学から見ると、これまでの無数の死があったから、進化できて、私たちが存在しているんです。

進化は “運がいいものが生き延びた”結果

――生物の進化は、生き残るためにあるイメージでしたが。

小林:進化って、強いものが生き残るというイメージあるかもしれませんけども、実際にはそうじゃないですね。偶然がほとんどです。どうしてかというと、地球の環境ってものすごく変わりやすいんです。その中で、生き延びたのは強いものというよりも、運がいいもの。隠れるのがうまかったり、小さい生物など、いろんな性質が関係して生き残ってきたんですよ。